【短編】フィガロの葉桜
それに釣られるようにネロも笑い声を上げた。
そうだ。これはきっとフィガロの悪い冗談だ。当てずっぽうがたまたま当たっただけ。それにかこつけて自分を魔女だなんて言ってるだけ。
質の悪い冗談なんだ。
ネロは、そう心の中で自分を納得させようとした。
そう、思いたかった。
だが、フィガロの言葉によってその願望にも似た思いは簡単に崩れ去った。
「当ててあげるよ」
笑みを駐在させたまま、端的に言った。
「ネロ。まずお前がここにやって来た経緯だ。
まずお前はこのアランクディ大樹海の奥に、捨てられたんだ。
その時は多分、『まだ兄弟は生きてたはず』だ」
ネロの顔から、血の気が失われていく。
フィガロは続ける。
「お前達二人は歩いた。
必死になって歩いた。
生きるために闇の森をさまよい続け、生を欲した。
だけれど、子供の体力なんかたかが知れてる。そのうち、お前の兄弟は限界を迎えた。
そしてそのまま、二度と起き上がらなかったんだ」
「もう……いい」
ネロが小さく呟く。
しかしフィガロはそれを無視し、尚も語る。
そうだ。これはきっとフィガロの悪い冗談だ。当てずっぽうがたまたま当たっただけ。それにかこつけて自分を魔女だなんて言ってるだけ。
質の悪い冗談なんだ。
ネロは、そう心の中で自分を納得させようとした。
そう、思いたかった。
だが、フィガロの言葉によってその願望にも似た思いは簡単に崩れ去った。
「当ててあげるよ」
笑みを駐在させたまま、端的に言った。
「ネロ。まずお前がここにやって来た経緯だ。
まずお前はこのアランクディ大樹海の奥に、捨てられたんだ。
その時は多分、『まだ兄弟は生きてたはず』だ」
ネロの顔から、血の気が失われていく。
フィガロは続ける。
「お前達二人は歩いた。
必死になって歩いた。
生きるために闇の森をさまよい続け、生を欲した。
だけれど、子供の体力なんかたかが知れてる。そのうち、お前の兄弟は限界を迎えた。
そしてそのまま、二度と起き上がらなかったんだ」
「もう……いい」
ネロが小さく呟く。
しかしフィガロはそれを無視し、尚も語る。