傘をどうぞ。
「ありがとうございます。みんなには漢字にすると、霧に雲とか暗いとよく言われるんですよね。」

そう言うと、彼女はまた笑顔を見せてくれた

「霧に雲、素敵じゃないですか。私は好きですよ。」

これも初めて言われた。だからか、凄く恥ずかしくて体の芯があったかくなった気がした

「では、彫っていくので少しお待ちください。」

「あの…彫ってるところ見ててもいいですか?」

「ええ。どうぞ。」

彼女は店内のテーブルの上で作業を始めた

僕は隣の椅子に座ってそれを見ていた

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