卯月の恋
カラオケ店の一番広い部屋で、30人近くの社員が残り、二次会が始まった。


「すみれちゃーん」

先輩の歌に手拍子をしていたら、川崎さんがビールのジョッキを片手に隣に座る。


「お疲れ様です」


「お疲れ」


私のカシスオレンジのグラスと川崎さんのジョッキがちいさく音を立てる。


「飲んでる?」


「あ、はい。いただいてます」


川崎さんは私の顔を見ると、おかしそうに笑う。


「すみれちゃん、眠たそう」


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