卯月の恋
カラオケに来たあたりから、実は私はものすごく眠たかった。

先輩たちの歌う、リンダリンダさえも子守唄に聞こえるくらい。


「こんなところで寝ちゃだめだよ」


川崎さんが笑いながら言うけど、もうどこでもいいから寝かしてほしい。


いつもなら確実に寝ている時間だ。

こんな夜中に、玲音は働いてるんだなぁ。

玲音に、会いたいな。


「帰りたい…」


玲音の隣の部屋に。
玲音のすぐ近くに。


「帰ります…お先に失礼します…」


私はバッグを持って立ち上がった。
先輩たちは盛り上がってるし、私が抜けても大丈夫だろう。
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