卯月の恋
神様がいるのなら。

こないだの発言は撤回します。


この先、私の人生がまるでウォータースライダーみたいに急に下り落ちたとしても、神様に文句いったりしないなんて嘘。


どこにいるのか分からないけど、なんとなく空にいる気がして、私はベランダから暗い空をにらむ。

神様と、それからどこにいるのか分からない玲音に。


玲音が私を好きにならなくても、他にたくさん女の人がいても。


木曜日は、一緒にご飯食べるって約束したじゃない。


「ウソつき…」

一緒にいてくれるだけで良かったのに。

ただ、それだけで良かったのに。

私の作った料理を食べて、うま…って呟いてくれるだけで良かったのに。
たまに、あきれたようにふって笑ってくれるだけで良かったのに。

消えるなんてずるいよ。

こんなに好きにさせたまま、黙っていなくなるなんて、玲音はやっぱりずるいよ。


この気持ちを私はいつまで抱えて生きていくのだろう。




< 85 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop