常務サマ。この恋、業務違反です
『高遠さんって、思ったほど偉ぶった人じゃないよ』

『こっちが呆れるくらい自分のことは無頓着でね。なんか、放っておけなくなる』

『あんなシャイな男、初めて見たかも。
見た目とのギャップあり過ぎて、戸惑うけど……ちょっと親近感湧いて来る』


思い出すとカアッと頬が熱くなった。


仕事の報告を聞きに来た加瀬君に、私は何を小学生の初恋報告みたいなことしてるんだ。


昔、学校でどんなことがあったか聞いて来る母親に話して聞かせた時と全く変わらないテンション。
今日●●君がね、●●君とね……勢い込んで話し出す私に向かって、お母さんはクスクス笑ってからかうような一言を呟いたもんだ。


『希望は、●●君が好きなのね』


好き、なんて一言も言ってないのに、どうしてバレちゃうの!?と子供ながらにパニックして、恥ずかしくて。


『ち、違うもん! ●●君なんて好きでもなんでもないもん!』


真っ赤になって半泣きになりながら必死に否定したもんだけど……。


今の私、あの頃とほとんど変わってない。
今更気付いて、加瀬君がどれほど不信感を持ったか考えたら、穴を掘ってでも隠れたくなる。


「~~~あああっ!! もう!」


ピシャッと音を立てて両頬を引っ叩いた。
そして、クルッとエレベーターに背を向けて、私は廊下に足を踏み出す。
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