常務サマ。この恋、業務違反です
「それは、人事部長に言われるまでもなく、自覚してます。高遠さんにだって、最初は散々言われましたから」
これまで加瀬君が担当してきた七人の秘書。
この仕事に応募して来たスタッフの中で、その時々で一番『完璧』な経歴を持つ落ち着いた雰囲気の人を選りすぐって来た。
語学力、秘書経験は当然のこと、国際部の二人に言わせれば『地味』であっても、秘書としての品位をそぐわない清楚な感じのクールビューティーって感じだった。
その位の人だと年齢は三十台前半に集中して、高遠さんとも年齢が近い。
それでも高遠さんは、私のことを誰よりも傍におけると言ってくれるんだ、と思ったら、私は人事部長の嫌味にも平気な顔して立ち向かえる。
「それでも、少しでも高遠さんが認めてくれるなら、私は私の出来ることを精一杯頑張ります」
「あなたに出来ることというのは、内側から懐柔するということですか」
「え?」
嫌味を通り越して今日の人事部長は嫌に辛辣だ。
むき出しの敵意にさすがに戸惑って、私は人事部長を見上げたまま瞬きを繰り返した。
「……うちの部員が噂しているのを聞きました。部長は最近、お昼時に手作り弁当を食べて、給湯室で容器を洗っている、とね。
聞くまでもなく、それを作っているのは葛城さん、あなたでしょう?」
「あ……」
キッと鋭い視線を向けられて、私はギクッと頬の筋肉を強張らせた。
「それは、あの……。高遠さんは放っておくと食事すらまともにとらない方だし、心配で……」
「それが純粋に部長の為、秘書としての役割だと考えての行動なら、別に私も咎めません。
ただそこに余計な下心があるなら、その芽は早々に摘み取ってしまわなければ」
「っ……」
まるで心を見透かされたような気がして、私は思わず言葉に詰まった。
これまで加瀬君が担当してきた七人の秘書。
この仕事に応募して来たスタッフの中で、その時々で一番『完璧』な経歴を持つ落ち着いた雰囲気の人を選りすぐって来た。
語学力、秘書経験は当然のこと、国際部の二人に言わせれば『地味』であっても、秘書としての品位をそぐわない清楚な感じのクールビューティーって感じだった。
その位の人だと年齢は三十台前半に集中して、高遠さんとも年齢が近い。
それでも高遠さんは、私のことを誰よりも傍におけると言ってくれるんだ、と思ったら、私は人事部長の嫌味にも平気な顔して立ち向かえる。
「それでも、少しでも高遠さんが認めてくれるなら、私は私の出来ることを精一杯頑張ります」
「あなたに出来ることというのは、内側から懐柔するということですか」
「え?」
嫌味を通り越して今日の人事部長は嫌に辛辣だ。
むき出しの敵意にさすがに戸惑って、私は人事部長を見上げたまま瞬きを繰り返した。
「……うちの部員が噂しているのを聞きました。部長は最近、お昼時に手作り弁当を食べて、給湯室で容器を洗っている、とね。
聞くまでもなく、それを作っているのは葛城さん、あなたでしょう?」
「あ……」
キッと鋭い視線を向けられて、私はギクッと頬の筋肉を強張らせた。
「それは、あの……。高遠さんは放っておくと食事すらまともにとらない方だし、心配で……」
「それが純粋に部長の為、秘書としての役割だと考えての行動なら、別に私も咎めません。
ただそこに余計な下心があるなら、その芽は早々に摘み取ってしまわなければ」
「っ……」
まるで心を見透かされたような気がして、私は思わず言葉に詰まった。