父から届いたラブレター
届くはずのない郵便
父の葬儀が終った翌日
一通の郵便が私宛に届いた。

差出人は書いていない。

恐る恐る私はこの分厚い郵便を開けた…


その中には、薄い封筒と何やら分厚い封筒

が…

 
薄い方を開けてみた。

差出人は  桜井 京子

 
 誰?


お久しぶりです。

とは言っても、由紀さんは私の名前を

ご存知ないでしょう。

私は、あなたのお父様が入院していた

病院の看護師です。

お父様から

「私が死んだら、

この手紙を娘の元へ送って欲しい。」

と頼まれたのです。

「そんな事出来ません。

どうか奥様にお渡し下さい。」

と何度も申しましたが

「死んでいく人間の最後の

願いをどうか聞いて欲しい。」

そうおっしゃるお父様の真剣な

眼差しに、どうしても

お断りする事が出来ず

今日まで、このお手紙を

お預かりしていました。
 
今日、やっとあなたの大切な

お父様の手紙をお届けする事が出来て

私も少し肩の荷が下りた気がしています。

赤の他人の私がこんな大事なお手紙を

お預かりしていた事

変に思われるかもしれませんが、

貴女のお父様は、私の実家の

父を思い出させて下さる

存在でした。

夜、面会時間が過ぎて皆さんが

帰られた後のほんの少しの時間

私は色々な悩みをお父様に

聞いて頂きました。

本当の父親がそばに

いてくれるようで、

とても心強かったです。


多分、お父様は、ご自分の命が

残り少ない事を知っている

という事を

ご家族に悟られまいと

私に預けられたのでしょう。。。

どんなお手紙なのかは

わかりませんが、

これから皆様が強く

生きていく為の大切な宝物。。。
 
そんな気が致します。

この先、貴女様にお目にかかる

事はないと思いますが

どうぞお元気で、

お母様をお大切に。。。
 


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