雨上がりの虹のむこうに
かたかた震える手を膝に掛けたショールを握ってこらえる。ここに居ない母の温もりを分けてもらうかのように、ぎゅっと握りしめた。
時間を追ってブログを進めていくと、心臓破りのきつい登りを登っていくという報告で終わっていた。時計を確認すると、日本時間の20時でまだ登頂出来ていないようだ。
あとどれだけの時間を待てば、いいんだろう。ただ座っているだけなのに、手のひらは汗ばんで極度の緊張で酸欠になりそうなくらいドキドキしている。
やっぱり仕事に行っていて良かった。たったひとりでこの状況だったなら、心臓発作を起こしかねない。
落ち着こうとお茶を淹れようとした私に、微かなノックの音が聞こえた。こんな時間にいったい誰がここに来るというのだろう。
ドキリとして動けないでいたら、またノックの音がした。
「優子さん、ミオです。いるんだったら、開けて下さい」
知り合いだったことにほっとして、ドアを開ける。