雨上がりの虹のむこうに


「どうしたの? 何か問題でもあった? 」


 わが社の優秀なパティシエールは、満面の笑みで銀のカートを押していた。


「軽食のお届けです。もうアフタヌーンには遅いけれど、優子さんにはこれくらいがいいかなって」


 きちんと三段のスタンドに盛られたスコーン、サンドイッチ、プチフール。ウォーマーの掛けられた紅茶ポットと紅茶のカップ、ジャムにバター、クロテッドクリーム。そんなきちんとしたアフタヌーンセットがそこにあった。


 目を丸くして見つめていたら、ドアの隙間から入り込んでテーブルのセッティングを始めたので慌てて問いただす。


「どうして私がここに居るって知っていたの? 」

「あたしも試作で遅くなることがあって、優子さんがここにお部屋を持っていること知っていたんですよ。山並さんが、今日登頂目指してるのも知ってます。だから…きっと優子さん食事もとらずに部屋をうろうろしているだろうって思って」


 そう言って温かな紅茶をポットから注いでくれた。


「これで落ち着きますよ」
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