雨上がりの虹のむこうに
求めているもの


 週のなかばにこの仕事はお休みをもらう。施設自体は休みなく営業していても、さすがに私達は休まないといけない。


 土日には幸せそうなお客様を送り出すのだけで精一杯で、友達と会うことも少なくなっていた。

 それでも、明日はお休みという火曜日、メールを受信した。


『今日、会える?』


 差出人を見て、ため息がでた。機嫌を損ねることのできない相手なので、たとえ予定があったとしても、こちらを優先しただろう。


『大丈夫です。どちらに行けばいいでしょうか?』

『いやこちらから向かうので、施設近くのコーヒーショップで待っていて。7時すぎには向かえるようにする』

『わかりました。お待ちしています』


 久しぶりに会うことになって、今日はどんな服で来ていたか心配になる。仕事帰りに、夏物の服を見ようとしていたので、そんな酷い格好ではなかった。

 シフォンブラウスに、タイトなスカートで、ジャケットもあったし、少しアクセントをつけたいなら、ショールも持っていた。


 これなら、相手に恥をかかすことなく食事の相手くらいは出来そうだ。


 とにかく忙しい方なので、こちらが遅れるようなことがあってはならない。それからは気を引き締めて定時にあがった。


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