雨上がりの虹のむこうに
空と山と雪と
空は、私の不安と緊張を映したように雨模様で空気はしっとりと水分を含んでいた。
空港の国際線搭乗フロアに私はいた。
マッキンリーのあるアンカレッジまでの直通便はないため、ソウル経由の北回りの飛行機になる。
大きな背中を見逃さないように、きょろきょろとしていると雪さんからラインが入った。
『熊、連れてきたよ
もうターミナルに入るところ』
どきんと胸が高鳴る。
一週間は会っていない。その間になにが変わるというの、大丈夫。ぎゅっと目を閉じて、ゆっくりと開ける。
広いフロアにたくさんの人が通り過ぎる。それなのに、私はたったひとりの人の姿をすぐにとらえることができた。
大きな荷物をキャリーに乗せて、雪さんともう一人男の人と連れ立って歩いていた。
体の大きさは変わらないのに、陽にやけた顔は野性的に見える。
私に気づいた雪さんが、手を振って山並さんに私がいることを伝えた。はっとした顔をした山並さんが私を見つけて、小さな目を見開いた。
雪さんが何か言って、山並さんの背中を押した。