雨上がりの虹のむこうに

「大丈夫です。あいつは、幼なじみだけど命を預けられるくらい信頼してるんです。あいつにはザイルを預けられる」

 そう言って雪さんと寄り添う男性を見た。

「マッキンリーは世界で一番高く見える山です。その山から見える景色を品川さんにも見せたいんです。他に遮るものなどない、空に一番近い場所です」

 そう言った山並さんは、本当に山が好きでたまらないという顔をした。普段、不器用な顔をしているのは、あれこれ考えすぎてしまって困ってしまうから……そんな気がした。

「キャンプ地には、パソコン通信の設備もあるので、ブログで近況も知らせることが出来るんです」

 それから口ごもってしまった山並さんは、真っ赤な顔で、

「よかったら……本当に暇な時で構わないので、見てください……いい写真を撮って来ますから」
 
そう言った。
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