にじいろ。
雪の積もった、5年前のあの日。
あんなにも雪が嫌いだと思ったのは
あの日が初めてだった。
彼女の周りの白い雪が真っ赤に染まり
さらにはその雪が彼女の体温を奪っていった。
俺があの現場に到着して彼女に触れたときには
彼女はもう冷たくなっていた。
彼女とは家が近く
そのこともあって幼馴染だった。
だけど
少なくとも俺は
そんな関係で終わりたくはなかった。
幼馴染という言葉は
友達よりは確かに距離が近く感じるが
俺にとっては
彼女の存在はまだまだ遠かった。