ぎゅぎゅっと短編詰め放題



私も、どうしようもない男に惚れてしまったものだな


と思ってると、塚原さんの車が勢いよく教習所に入ってきたのを見つけた。



そして、走るようにして、ドアを開けるのだから笑ってしまう。





「────咲都、いるか、帰るぞ」




聞きたかった声。呼ばれたかった名前。

塚原さんに名前を呼ばれると、自分ではあまり好きじゃなかった名前でも、素敵なんじゃないかって思えるの。




ねえ、塚原さん。


私、少しは自惚れてもいいのかな。




ただのひとりの生徒に過ぎないとしても、こうして必死な顔を見せてくれたり、優しい声で名前を呼んでくれたり。




少しだけ、期待してもいいのかな。





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