もしも緑間くんと恋をしたら
ツンデレの彼
その日は、それ以上緑間くんと会話することもなく時間が過ぎた。

部活のロッカーの鍵に五筒なんて付けて、周りに何か言われたりしないのかな。なんて、考えたり、そういうとき彼はどんな顔するのだろう。なんて考えたり……。

制服のポケットに仕舞った、彼のアドレスのことを思い出してニヤけたりして……。

帰って彼のアドレスにメールしようと思うけど、初めてのメールはなんて送ろうか。

男性にメールなんて送ったこともないし、想像もつかない。

楽しみだけど、緊張してる。

授業が終わり、急いで家に帰ると、パソコンを広げてメールを作成しようとした。

だが、そこで冷静に考えた。

(今、メール送ってもすぐ返ってくるわけじゃないな……)と。

彼は今、大好きなバスケに集中している。

私は何してる……?

そうだ……釣り合うわけない。
私なんかが、彼に合うわけない。

なんであの日気付かなかったんだろう……。

相手はキセキの世代の一人だ。

私は、初めて恋をして挫折感を味わった。まだぶつかってもいないけど、私なんかでは天才プレイヤーの彼には到底及ばない……。

私は作成中のメールを消して、パソコンの電源を切った。

制服を脱ぎ、私服に着替え、玄関で靴を履き、目的地に向かった。

―チリン、チリン

「……叔父さん」

実は私、家族より雀荘で働くこの叔父さんとよく話している。

両親が共働きっていうのもあるし、私には姉がいるが嫁いでもういないし……。

家でネット麻雀やるか、叔父さんとこの雀荘で常連様と四人打ちするか、叔父さんと話すか。

それしかやることがなかった。

私が今日ここに来たのも、理由があった。
< 26 / 56 >

この作品をシェア

pagetop