櫻~再会の願い~
喪失


千紗都が死んで、5日が経った。

私はゆっくりベッドから起き上がる。

机の上に置かれた鏡に映るのは、腫れた眼をした自分の情けない顔。


「カッコ悪い……」


そう呟いて、見るに耐えられず鏡を伏せた。

カーテンの隙間から差し込む日差しが、泣きはらした眼には眩しく感じる。

身体の真ん中に重いものを埋め込まれたような重苦しい感覚。

胸の奥に何かつかえているのにどうして取れない、そんな感じ。

動き出そうとするとこの感覚が襲ってくる。

仕方なく、私はまたベッドに身体を沈めた。

少しして、階段を上ってくる音が耳に入った。


「絢音(あやね)……起きたの? ごはん出来てるから食べる?」

「…………うん」


心配そうなお母さんの声に、私は返事をした。


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