カムフラージュの恋人
「今度の休み、出かけようぜ」
「は」

なんか・・・途端に、いつも通りの元気な声に戻ってるっていうのが、少しばかり納得いかないんだけど・・・。
ま、引きずらないっていうのが、雅彦の取り柄の一つでもあるし?

「えっと・・・出かけるって、どこに?大体、それでつきまとってる“彼女”が納得するの?」
「やってみないと分かんねーだろ」
「まぁそう、ね」
「きよいは休み、いつ」
「明後日」
「俺も休みだからちょーどいい!水族館行くか!」
「はあ!?なんでまた・・・」
「お決まりのデートスポットと言えば、水族館じゃね?」
「ど、どうだろ」

ていうかこれ、「デート」なの?
・・・そうよね。
だって「フリ」とは言え、私は一応、雅彦の「彼女」なんだし。
と思ったら、自然と私の顔に笑みが浮かんでいた。

たとえニセモノでも、そのときだけは、雅彦と恋人同士な関係になるわけだから・・・。
だったら「デート」を楽しまなきゃ、損だよね!

「じゃー、どっか行きたいとこあるか?」
「・・・ううん。水族館がいい。水族館行こ」
「おう!」

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