もう、きっと君と恋は始まっていた




『高校に入学した頃、あたし達四人、すぐに意気投合したでしょ?
 あの頃から、あたしはずっと崇人のことが好き、だったんだ…。
 けど、崇人はいつも知佳とじゃれ合ってて…それでもいつも崇人は知佳のことをよく見てたから、崇人の好きな人は知佳だなって思った…』




それは、由樹君も言っていたことと同じだ…。

奈々の話を聞きながら、そう思った。






『でも私は崇人が好きで…でも知佳に相談したら、知佳が崇人のことを好きになっちゃうかもって…不安で、怖くて……だから由樹にずっと相談に乗っててもらったんだ…』




それが、奈々が私に相談してくれなかった、理由。


きっと、私が今、奈々を怖いと思ってるように、あの頃はきっと、奈々が私を怖い存在に思ってたんだ…




『由樹に相談してるうちに、知佳が由樹をよく見てるな、そう思って……だからきっと知佳は由樹のことが好きなんだって……それなら……』



そこで奈々の言葉が止んだ。



私は、奈々に聞き返す。




『…それなら?』



奈々は私の顔を見て、そして俯いた。




『それなら…崇人のことを想っていても届かないなら……知佳が好きだと想ってる由樹はあたしのものにしたかったの……。

 ごめん……友達なのに、崇人に想われてる知佳がどうしても羨ましくて仕方なかった……知佳にもあたしと同じ苦しみを味わせたかったの……それで由樹と付き合った…』





『…ごめん……』


『ごめんなさい…』




奈々の謝罪は続いた。




それはどんどん小さく、微かな声になっても…。






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