最後のコトバ
いつもと同じ場所のはずなのに、何か違って見えた。
「まずは自己紹介。今岡智史、工業高校の2年。君は?」
引っ張っていたのを腕から手に変え、繋いだまま隣同士に座る。
勝手に話しを進めているけど、この人は何を考えているのだろう。
同じ高校でもない、知り合いでもない赤の他人に、なぜそこまで介入するのだろう。
そんな不思議な感覚がぐるぐる回っている。
「なぁ、聞いている?名前は?」
そして、答えなかったあたしに、もう1度聞いてくる。
無視すれば、そこで終わりじゃないのだろうか。
「ねぇってばー」
黙ったままのあたしに、顔を近づけて視線を合わせる。
その行動に驚いたあたしは、すぐに顔をそらす。
「相原梨華、商業の2年」
黙っていてもほっといてくれないと思い、そっけなく答えた。