最後のコトバ



皐月さんにも言われて、ようやく状況を把握した。

だけどあたしは、素直に頷くことが出来ない。

ここ何年、まともな共同生活をしたことがないあたしは、人との距離間が分からない。

普通の人が家で何をしているのかも知らないんだ。


それに偶然とは言え、入院と退院で迷惑をかけている。

なのに、退院したあとまでお世話になって迷惑をかける。

ここまでしてもらったら、優しく一緒にいると言ってくれた智史くんでさえ、離れていってしまうんじゃないかと不安になる。


それが現実となれば、あたしはひたすら堕ちていくだろう。

全面的に信用している訳じゃない。

でも、一緒にいると言ってくれた言葉は、あたしの支えになってしまった。

リハビリを頑張れたのも、近くで見てくれている人がいたから。

そんな相手を失うのは、何よりも怖い。




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