最後のコトバ
だから、前と同じ距離間でいた方がいいんじゃないか。
いつの間にかうつむいて考え込んでしまったあたしの手を、智史くんはギュッと握る。
その拍子に顔を上げると、少しだけ表情を歪めて言う。
「迷惑なんて思っていないから。
何よりも心配なんだ。
だから、ここにいて欲しい」
その言葉に、表情に、胸がしめつけられた。
知り合って間もない、それも訳アリのような女に、どうしてそこまで出来るんだろう。
智史くんの言葉は、今まであたしが受けた言葉とは正反対のモノばかり。
そのため、驚きと戸惑いばかりだった。
初対面の時からそうだったから。
彼の性格がそうさせているのかもしれない。
そんな顔されてまで言われたら、首を振ってまで帰るとは言えない。
ここにいてどうなるかは分からないけど、なるべく大人しくしていよう。
そう心に決めて、こくりと頷いた。