ずっと隣で・・・
英斗の事を頭に入れない様とにかくがむしゃらに
仕事をした為、珍しく定時で上がれそう。

弦とこれから約束もあるので意識を弦に集中していた。
弦とは30分後に駅に隣接しているデパートの前で待ち合わせすることに
なっている。
昼休憩の時メールがきていたからだ。

終業時間になり、私は急いで帰り支度を始めた。
英斗はもういないかもしれないが
それでも万が一って事もあったし、それに早く待ち合わせ場所に
行きたいという思いもあった。

更衣室で着替えを済ませロッカーに鍵をかけていると
「おつかれ~」
振り向くと美鈴だった。
「今日は・・・教えてくれてありがとう」
「会わずに済んだ?」
私が首を横に振ると美鈴は驚いた様子で顔をぐっと近づけた。
「まさか・・・会ったの?」
「あったと言うか・・・資料室にやって来た。しかも・・・
別れたつもりはないって・・・」
美鈴はあからさまに顔をしかめた。
「信じられない。・・・・で?千鶴はどうしたの?」
「もちろん。否定したし、私に近づかないでって言ってやった。」
美鈴は大きく溜息をつくとすぐさま自分のロッカーの扉を開けて着替えを始めた。
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