ずっと隣で・・・

「今から帰り？」
美鈴が着替えながら顔だけを向けた。
「・・・うん。ちょっと約束してて・・」
美鈴には弦の事を話していないので、これから弦と・・・
元彼と会うとはいえなかった。
「・・まさか・・これから篠原くんと？」
「ま・・まさか！違うわよ。大学の時の友達と会うことになってて・・・」
そう・・・弦は大学の時の恋人だった人・・・だけど今は友達
間違ってはいない。
美鈴はホッとした顔をしたが、
「わかったよ・・・でも万が一篠原君が１階で待ってたりしたら
困るから下まで一緒に行こう。それに、もしいたとしても私がいれば
しつこくつきまとわないでしょ？」
「美鈴・・・ありがとう」

そして私たち２人はエレベーターで１階まで下りた。
だが１階に着くと・・・・まさにビンゴ
美鈴が心配していた事は的中していた。
英斗が１階エントランスにいたのだ。
「ほらね・・・やっぱり・・千鶴は堂々としていればいいから。
向こうが何か言うまで無視。そのまま出口まで行っちゃうよ。」
美鈴が小声で囁いた。
私はバッグをギュッと力強く握り直し、英斗と視線を合わさないように
ただ前だけを見て歩いた。