ずっと隣で・・・
乾杯の後はなんともよそよそしいというか言葉を選ぶような会話が続いた。
特に弦はさっきマスターと話していた事に触れてほしくないオーラ全開だ。

でも人間だものあんな事知っちゃったら聞きたくなるよ。
それは元カノとしてか、それとも単なる好奇心かは
自分でもよくわかっていないけど・・・

私と別れてから就職するまで頻繁にここのナポリタンを
一人で食べていたんだよね・・・
どんな気持ちだったのだろう。


ふと私はあの頃の自分を思い出した。
弦と別れた頃の私は・・本当に酷かった。
好きなのに別れるという選択をしてしまった事への罪悪感や後悔が
入り乱れ何日も部屋に閉じこもっていた。

食事もほとんど摂らなくなりひきこもりに近い状態にまでなった。

でも・・・別れを決めたのは私自身だったから
弦を恨む気持ちよりも自分自身を恨んでいた。
自分がもっと弦を信じていれば遠距離恋愛も可能だったかもしれない。
最初から無理だと決めつけて自己中だったと

そんな弦と今こうして一緒に飲み屋でビールを飲んでいるなんて
あの頃の私には絶対に想像できなかっただろう。
しかも友達として・・・・

きっとこんな複雑な思いをしているのは私だけなんだ・・・
きっとね・・・
そう思いながら汗をかいたジョッキの生ぬるいビールを一気に飲み干し
おかわりした。
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