ずっと隣で・・・
弦には迷惑かけたくなかったのに嘘をつかせてしまい
迷惑をかけてしまった
再会してからずっとだ・・

「弦・・・迷惑かけてごめんなさい」
申し訳なくて顔を上げられないでいた。

「とりあえず・・行こうか」
弦に笑顔で肩をたたかれ歩き始めた。

どのくらい歩いただろう。
かれこれ10分は歩いてるがその間
弦は私の事を気遣うように何も聞いてこなかった。
ただ黙って歩いていた。
「ねぇ・・何処に行くの?」
私でもあまり通らない場所をただ黙々と歩く弦に不安を感じた。
「ん~どこかな・・・ゆっくり話せるところがいい」そう言って足を止めた。
「え?ゆっくりって・・・」
「例えばこことかさ・・・」
弦が指をさしたのはビジネスホテルだった。
駅から少し離れたところではあるが、外観はとてもおしゃれだった。
「え?ここ?ここって・・・ビジネスホテル・・だよね・・・」
何でゆっくり話せる場所がここなのか私にはわからなかった。
「そう・・俺が今日・・・泊るところ・・・」
弦はそう言うとホテルの中に入ろうとした。
「ちょ・・ちょっと待ってよ・・・さすがにここは・・・」
どこか飲んだり食べたりするところでも良かったし
一通りの多い大きな公園でも良かったのに
「さすがにここは・・って何かまずい?」
「まずいって言うか、まずいよ。いろんな意味でさ・・
っていうか、何で実家じゃなくてここなの?今日実家に帰るんじゃ・・」
弦はホテルの入り口を指さすと少し困ったような顔を向けた。
「いろんな意味ね~~ってかさとりあえず入らない?・・・ここ入口だから」
人気があるのかホテルの利用者が多い様で、私たち2人はかなり邪魔だった様だ。
私たちを避ける様にビジネスマンや出張のOLさんが入る。
弦は私の返事を待たずホテルの中へ入っていった。
「・・・わかったよ」
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