ずっと隣で・・・
「あれ?葉山君」

また、聞きなれた声がした。
英斗のすぐ後ろの店から課長たちが出てきたのだ。
「課長・・・・それに…美鈴?」

課長は私と弦の姿を見るなりニヤリと笑う。
「な~~んだ。俺の誘いを断ったのは、このイケメンとデートだったからなんだな?」

やっぱりそうきたか。
課長の後ろにいた美鈴の顔は
明日ゆっくり聞かせてもらうよって顔だし・・・

「あの・・・それは・・・」
説明しようとしたら
「千鶴…会社の方?」
弦がみんなに聞こえるような声で聞いてきた。
私は小さくうんと答えると弦は姿勢を正した。
「はじめまして、千鶴の親友の水野といいます。
今日は出張でこっちに来たので久しぶりに彼女と食事をしたんです。
課長さんのお誘いがあったのにこっちを優先させてしまったようで
もし訳ありません」
完全なる営業スマイルだった。
私の事を思って弦が言ってくれたんだろうが、
まるで2人の間には恋愛感情など全くないと言っている様で
胸が勝手に痛くなる。

「そうかそうか、てっきり葉山君の彼氏さんかと思ったよ。
手繋いでるし・・」
すっかり忘れてた。・・・・繋いだ手に視線を向けると

「葉山がぼーっとしてこけそうになったんで咄嗟に手を・・・な?」
「う・・うん・・・。そうなんです。」
私の返事と共に繋いだ手が離れた。

「そうだ、せっかくだしこれからみんなで飲みに行かないか?」
突然の誘いに顔が強張る。
このメンバーはきつすぎる。
英斗と弦?絶対無理

「せっかくのお誘いうれしいのですが、これから共通の友人たち合流する
ことになっているので・・・」
と頭を下げたのは弦だった。
課長は飲むきっかけを失くし残念そうな顔をしたが

「課長、早く次行きますよ」
美鈴が気を利かせてくれた。
「お・・おう・・・じゃ~葉山君と・・・水野君またね~」
そう言って課長たちは私たちとは逆方向に向かって歩き出した。
別れ際、英斗が弦を睨んでいたのを私は見逃さなかった。
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