杉下家、姉弟の平和な日常

姉は不誠実なことをするような人間じゃないし、剛さんも言いがかりをするような人ではない。

姉と剛さんは長い付き合いで、家族全員と一緒に鍋だってつついたことのある仲だ。

「なんでそんなことになったんだよ」

「教えない。ねぇ、ケイちゃん何時に来れるって?」

いつの間にか購入した何かが入った紙袋を、姉の手から奪って「すぐ向かうって」と告げて歩き出す。

姉は感謝の言葉とともに隣に追いつくと、俺の服のすそを掴んで歩く。

二人で出かけると、コンパスの違いで姉がすぐにはぐれるため、昔は手を繋ぎたがったが、さすがに姉弟で手を繋ぐのもどうかと思って拒否したところ、妥協案がこれだ。

彼女ではないので、歩調は合わせてやらない。

ましてや、待ち合わせ場所に可愛い彼女が来るのだ。

距離が開くと服を引っ張られる力が強くなるので、一つため息を吐いてから姉の腕を今度は俺が掴んで目的の喫茶店に急いだ。

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