キミじゃなきゃダメなんだ


私はというと、乾燥機を借りるには養護の先生に声をかけなきゃいけないわけで。


だけど今私は、汐見先輩の上着を着ていて、胸元にはしっかりと『汐見』と書かれている。


....この格好で、もう一度全校生徒の前に姿を現すことができるほど、さすがに私はアホじゃなかった。


ちょっと面倒だけど遠回りして、校舎の裏を通ろう。

そしてこっそりと、救護テントにいる先生に声をかけよう。


どこからか休憩時間が終わり、集合の笛の音が聞こえて来た。


静かな校舎裏を歩きながら、なんだかまた涙が出てきて、今度は素直に泣いた。


ブカブカの体操服から先輩の匂いがして、ちょっと安心した。







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