キミじゃなきゃダメなんだ


「....気のせいじゃありません?」

「気のせいじゃない。君、絶対面食いでしょ」

「....ち、ちがう...と思います.....」


これは言い切れない。

何故なら私には前科がある。イケメンだからとこの人に友達になってほしいと頼んだ過去があるわけで。


「....か、仮にしていたとしても、でも、誰にでもするわけじゃ」

「そうだね。誰にでもって言えるほど、僕は君が容姿のいい男と話してる姿を見たことがないしね」


そりゃそうだ。

私が普段から話すことができるイケメンなんて、汐見先輩と松原先輩くらいだ。

理由は私がこの顔だから。これに尽きる。


てゆーか、先輩はそのことに怒ってたのか。見当外れすぎた。


これは、えーと、嫉妬という類い、ですよね?

ニヤけてしまいそうだけど、この流れでニヤけるとさすがにまずいことはわかります。


でもなぁ。断じて認めたくないけど、もし私がニヤニヤしてたとして、相手はお父さんだよ?

てゆーかぶっちゃけ名前も知らないおっさんだよ?


「....あの....一応相手はお父さんですよ。妻子ある身の人ですよ。仮にときめいても、先輩が心配するようなことには」

「君があの人とどうこうなるのは心配してない。君の言う通りあり得ないし。相手がどうだろうと関係ないんだよ。君が他の男に嬉しそうな顔するのが腹立つっていってんの」


うひゃああああ。

待ってニヤける。むり。耐えて表情筋。あと心臓痛い。


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