キミじゃなきゃダメなんだ


「あ、ありが....」

「あのさぁ、百合」


そしてやっぱり前と同じように、お礼を言わせてくれないし。

思わず口を閉じると、彼はあのときとは違う、悔しそうな目で私を見た。



「君はさ、誰にでもああいう顔すんの?」



...ああいう顔?


「ど、どういう顔でしょうか...」

「ニヤニヤしてたじゃん、あの人に」

「どの人ですか」

「さっきの子供の親だよ」


ええ!?

に、ニヤニヤ...!?ニヤニヤしてたの私!?

い、イケメンだから!?無意識に!?


「そ、そそそそんなはずは!」

「してたよ。うれしそーな顔してさ」

「だって私イケメン耐性が!ついてるはずで!」

「なにそれ。顔いい奴とそんなに一緒にいるの?君」


あなたのことですけど!?


えええー、してたか?私。

最近、ていうか今日は特に先輩のことでニヤけちゃうのが多かったから、表情筋には気を付けてたつもりなんだけどな。


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