キミじゃなきゃダメなんだ
この女子力底辺野郎が、好きな人を想って初めて変わろうとしてるんだ。
だってこのまま付き合ったら、きっと私、今みたいに先輩に迷惑をかけまくる。異性としてがっかりされまくる。
根本的な性格は変えられないだろうけど、なんかこうできることがあるはずだ。
とりあえず、呆れられないようにしたいんだけど。
私が、座り込んだまま首をかしげていると、先輩は頬杖をついて「とりあえず立って」と言った。
言われた通り立つと、「ソファ。座って」と私が座っていた場所を指差される。あ、ハイ。
大人しく座ると、先輩は「僕はさ」と言った。
「君に、これから変わってほしいとは少しも思ってない。僕が何かを言うことで君が変わろうとする可能性があるなら、僕は絶対に何も言わない」
....え。
あまりの頑なさに、戸惑った。
「....どうして」
「そもそもさ、なんで変わろうとするの?必要ないよ」
「...さ、さっきみたいに先輩をたくさん悩ませちゃうし、迷惑かけちゃうし、怒らせちゃうかもしれないし」
「いいよ。それで」
「....えっ?」
「君のことで悩むのも、迷惑かけられるのも、怒りたくなるのも別にいい。君と一緒にいると飽きないし。絶対何かしでかすよね。でもそれでいいよ」
先輩が何を言っているのか、ちょっとよくわからない。