キミじゃなきゃダメなんだ


百合を見たら、もう一度僕の方を見ていた。目があった。

ゆっくり、その目が細められた。



『...先輩はもっと、私が先輩のことすごく好きだって、知るべきです』



...やさしく、穏やかに。

それでいて責めるような目で、百合は言った。


すごく自然に、告白された気がする。


すごいなこの子。

僕も今までかなり色々と台詞を吐いてきたけど、たまに言う百合のこういう言葉は、かなり僕の胸をえぐる。

消えない傷を残す。

一生消えない、甘い傷だ。


『...そう、なんだ』

『はい』

『ふーん』

『覚えててくださいね。私が好きなのは、先輩ですから』

『....うん』


いつかにたぶん、似たようなことを僕も言った。

彼女がそれを記憶していて、言ったのかはわからないけど。



< 526 / 549 >

この作品をシェア

pagetop