キミじゃなきゃダメなんだ


『...ええ...わかんないよ』

『ほら。わかってないじゃないですか』

『いやいや...難しいから』


女の子ってときどき、よくわからないことを言う。理解しがたい。難しい。


僕が困った顔をすると、百合はムスっとして、僕から顔をそらした。

ええ...なんでそこで不機嫌になるんだよ。わかんないよ。



『....私は、先輩がいなくなっちゃったら、困ると思います』



突然、百合が言った。


...困るの?

僕は当然困るけど。

百合と別れたら、たぶん僕は生きていけない。


でもたぶん百合は違う。

僕がいなくても、この子は生きていける。


そう思っていたのに、百合は僕の考えとは違うことを言った。


『たぶんもう、立ち直れないと思います。ずーっと先輩のこと引きずるんです。次の恋愛もできないんです。先輩以上のひと、たぶんこれからの人生で出会えないと思うから』


....そう、なのか?


僕以上の奴なんか、たくさんいるだろう。

百合は僕をいつも褒めてくれるけど、僕なんか大したことない。

暗いし無気力だし、冷たいし。

いいのなんか、たぶんほんとに顔だけ。


なのに百合は、僕が離れたら困ると言う。




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