キミじゃなきゃダメなんだ


先輩を説得するのは半ば諦めて、また数学の問題に目を落とす。

今度は何の気なしに、雑談の延長として、話をなんとなく続けた。



「応援するのも楽しいですよ。頑張るひとって、ステキじゃないですか」



ぴく。

と。そのとき微かに、先輩の肩が揺れた。


「................」


そのまま先輩はうつむいて、動きを止める。

え....なに。


「先輩?」

「ほんとに、そう思うの?」

「え?」

「頑張る人はステキだと、君は思ってるの?」

「え....は、はい」

「.........」


な、なんだなんだ。

ステキだと思っちゃダメだったのか。

彼の反応が予想外すぎて、その顔が上げられるのを待つ。


やがて先輩はゆっくりと顔をあげて、私の顔をじっと見た。


うわあ。なんてきれいなお顔なんだ、何カラット?

てゆーかあんまり見ないでください!




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