I先輩
 


「いや、ほんと!勝手なことしてごめん!
でも俺は、カズくんのためを思って…!!」



だめだわたし…全然、話についていけてない。

一人、取り残されてる感じだ。



「ことりちゃん、こいつに何か言われた?」

「え…?」



今日初めて、カズ先輩に話しかけられた。



「えっと……
カズ先輩と別れてほしいって、あと…それをカズ先輩も望んでるって……」



わたしがそう言った瞬間、先輩はさっきよりもすごい顔でお兄さんを睨みつけた。



「だれが、いつ、そんなこと言ったよ。いつ俺がそんなことしろって頼んだ?あ?」

「言ってません、カズくんは何もっ!」

「言ってないんですか?」



二人は一斉にわたしを見た。



「まじ、言ってないから!そんなこと思ってるわけないじゃん!!」



先輩がお兄さんから手を離して、わたしの前に来る。



「不安に、なった?」



いつもの先輩
この人は偽りなんかじゃない。

わたしは首を横に振って、笑った。



「信じてましたから」



先輩はニイッと笑うと、わたしの頭をくしゃくしゃと撫でた。



「さすが俺の彼女」


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