白の道化師

間宮静という人物

5月20日の空を分厚い雲が覆っていた。
先ほど降水確率0%と言っていた爽やかな笑顔の天気予報士の予報はまんまと外れたらしい。


「雨は嫌だなあ」


間宮静はそんな空を見上げながらそう言った。

今日はBクラスの天気予報士サンの言うことを信じて傘を置いてきたんだけど。


いつものように自分の勘を信じれば良かったと静は後悔していた。


「やっぱり僕の勘は外れないね〜」


パーカーのフードを深く被り直しながら静は小走りで柊南天(ひいらぎ)高等学校へ急いだ。





地球に「超能力」という非科学的なものが生み出されてから実に200年の時が経った。


どうやって生まれたのかは不明だ。宇宙人説やら神様からの贈り物だのSFマニアや評論家、宗教はここぞとばかりに説をあげたが無論証明されず解明には至っていない。

わかるのは200年前の太平洋沖巨大隕石落下と同時に人間に宿り爆発的に広がったということだけ。



しかし200年経った今でも能力を持たない者もいた。能力保持者:一般人=1:3くらいの割合らしい。


つまり能力保持者は世界の4分の1、25%だ。そう考えると少ないが能力保持者数の増加は年々高まっておりまだまだ増える兆しが見られる為そのうち100%が能力保持者となるに違いない。


それ以来十人十色の能力が生まれた。


ある者は万物を浮かす力を、ある者は人外の脚力を、ある者は天気を予知する力を……。



能力には強さもありクラスで分けられている。

少し足が早いなどの低い能力をもつ者のFクラスから戦争など使いようによっては兵器にもなるような者のSSクラスまで。


SSクラスを超えてしまえば『危険度SSS指定人物』として軍から監視されることを余儀無くされる。


能力は使う者によって善ともなり、悪ともなった。



『危険度SSS指定人物』に指定された者はこの世に1468人。いずれも気分次第で街一つ消し飛ばすほどの力を持っている。



間宮静はEクラスの能力保持者だ。


戸籍上、は。
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