君が居た頃。
「で、もう投与……て言うのかな?
したの?」

「うん。今のとこはなんでもないよ。
個人差があるみたいだし」

本当?無理してないよな?

季織の心配性がうつったかなぁ。
─なんてね。

「あ、そうだ昨日
渡しそびれたんだけど……」

俺は鞄から小さな袋を取り出した。

「なぁに?それ」

「開けてみ?」

不思議そうに首を傾げた季織が
その袋をゆっくり開いていく。


「…………アネモネ」

独り言のように呟く。

さすが、花をみて名前がわかるんだな。

「正解には、2週間後に咲く
アネモネなんだけどね?」

その俺の言葉に、季織は
はっとしたように
俺を見つめ返した。
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