君が居た頃。


「………お姉ちゃんが死んじゃったら……
……どうしよぉ………………」


強く瞑った瞼の隙間から、
ポロポロと涙が零れていた。


「………香織……」


操られていた糸が切れたように
力もなく泣き崩れた香織を、
慌てて支えた。


「こうやって……どんどん壊れて………
湊魅も……お姉ちゃんも……」


震えるその両手を、
思わず強く握った。


大丈夫。

俺は大丈夫だよ。
李織も俺も壊れたりしないよ。





………何で言ってやれないんだろう。

嘘になるから?






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