君が居た頃。
俺、こんなに弱かったのか……。


気付いたら涙が溢れ、
支えていたはずの香織の身体に
身を委ねていないと、
上半身すら起こして
いられなくなっていた。

香織も俺も、
そうやって支え合わなければ
立つこともままならない。


「神様なんて嫌いだよ……………」


そう香織が呟いたのを最後に、
二人は言葉を話さなくなった。

その内、俺が熱に意識を奪われるまで、
香織は俺にもたれ掛かって
静かに泣いていた。

< 59 / 85 >

この作品をシェア

pagetop