白いジャージリターンズ~先生と私と空~
駐車場に車を停めて、目立たない奥の入り口へと回る。
コソコソしてるのが楽しい。
大人になっても、こんなことしちゃう先生、やっぱり素敵だなって。
ありがとう、先生。
愛、感じるよ。
「廊下、歩いてるヤツいるなぁ」
「指導しなくていいの?」
「う~ん。見て見ぬふりはできないな。ちょっと、待ってて」
先生は、サボって廊下を歩いてる生徒のところに行き、その子は笑顔で先生に手を振っていた。
こういうとこ、何度も見た。
悪いことしてる生徒に近付く先生は、とても優しい。
だから、みんな先生を拒絶しない。
教師してる、先生……
好きだな。
やっぱり大きくてかっこいい。
戻ってくる先生に見とれてしまう。
「ごめんごめん」
「大丈夫?」
「ああ、ジャージじゃないから誰かわかんないって言われた」
「そうだよね~!先生、すごいかっこよかった」
「え?どこが?」
「ふふふん」
「やっぱり直は、直だな」
「学校にいる先生、ドキドキしちゃう」
先生は照れくさそうに髪をかき上げた。
「6時間目、使ってないんだって。あの部屋」
普段は走っちゃいけない廊下をふたりで走って、あの場所へ。
向かう先は……
言わなくてもわかる。
ベートーベンのいるあの部屋へ。