白いジャージリターンズ~先生と私と空~

空の社交的なところは先生に似たんだろうな、なんて思いながら、みんなに抱かれる空を見つめていると、玄関から声がした。

「遅れました~」

懐かしい依子の声だった。

玄関に迎えに行く前に走ってきた虎太郎。

「大きくなったねぇ~!」

「でしょ?もう生意気で生意気でさ」

虎太郎は、空を見つけると、こんにちは、と大きな声で挨拶をした。

空も、ぺこりと頭を下げて、こんにちはと言った。

最近のブーム。

ぺこりと、挨拶。

買い物に行っても、レジのお姉さんに挨拶をする。

かわいいね~って言われることが嬉しいみたい。
もちろん私も嬉しいんだけど。


「久しぶりだねっ!」

元気な依子の声を聞いて、高校の頃のことを思い出した。

依子には辛い過去もあって、こんなにも幸せな未来が待っているなんて思ってなかったかもしれない。


「よぉ、里田。龍もいらっしゃい」

先生は、空を肩車した。

ひょいっと持ちあげちゃう所、やっぱり男だなって思ったりする。

密かなキュンポイント。

< 15 / 173 >

この作品をシェア

pagetop