白いジャージリターンズ~先生と私と空~


二次会は夜景の見えるBarだった。

こういう場所に先生と来ることも久しぶりでドキドキした。

空がいるから、途中で帰る予定にしていたけど、子供のことを考えて禁煙にしてくれていたので、顔を出すことにした。


ピカピカ笑顔の美亜ちゃんの隣で、渋いけど嬉しそうな隆介君。


「ねえ、先生。実は俺たち、絶賛子作り挑戦中なんですよ」

とたっくんが先生に言っているのが聞こえた。


ゆかりからは、ここ数ヶ月『できたかも?』と連絡が何度もあったことを思い出す。


なかなかできないんだ、と悩んでいるゆかりを見ていると、ある後悔が浮かぶ。



何年も前だったけど、ゆかりに赤ちゃん用の靴下をあげたことがあるんだ。

赤ちゃんが欲しいって言ってたから、いつかの為に。


私は無知だった。

子供を望めばすぐにできるものではない。

欲しくてもできない人もいるし、事情があって生めない人だっている。



まだ子供ができていない友達にそんなものを渡してしまったこと……



デリカシーがなかったな、と反省。

そのことを謝ることもできずにいる。

できたらいいね、と話しているけど、胸が痛くなる。


きっと、私には言えないこともある。

母になってわかる。

二人目が欲しいのにできないママは、先に二人目ができたママをうらやましく見ていることも知ってる。

陰で嫌味を言われているのも見たことがあるし、女の嫉妬?

母の嫉妬というのか、本当にいろいろあって。



実際、私もその渦の真っただ中にいて。


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