残念御曹司の恋
「お姉ちゃんって、ホント馬鹿なの?」

妹の紫里は、皿に乗せられた苺のタルトを頬張りながら、呆れた声を上げた。
私はおかわりしたコーヒーを飲みながら、妹の話をただ頷いて聞いている。

休日のホテルのティールームで、スイーツビュッフェを楽しんでいる最中だ。
そして、ここは、いつも竣と利用するホテルで。決まっていつもこのホテルだから、おそらくここが熊沢家の御用達なのだろう。
スイーツビュッフェの企画を、先週朝帰るときに見かけて、かねてより甘い物を吐くまで食べたいと言っていた紫里を誘ったのだ。
今週は予告通り、彼からの連絡はなかった。忙しいと言っていたから、仕方がないだろう。

「いつ聞いても思うけど、不毛な関係過ぎる。いい加減、清算しなよ。」

妹はいたくご立腹のようだ。
最近、どうなってるか聞かれたから、正直に答えただけなのに。

「ちょっと、お姉ちゃん、聞いてる?」

頷くだけの私に話していても、手応えがないのか、妹は少し強めの語気で問いかけた。

「うん、聞いてる。いつものことながら、全く紫里の言うとおりだと思う。」

私が返す言葉もいつも通りである。
紫里は「だったら…」と話しかけて、何かに気が付いたのか、困ったような顔をして言葉を飲み込んだ。

「お姉ちゃんはさ、もし、今の関係に終わりがきたら、その時はきっぱり諦められるの?」

妹が投げかけた言葉は、今までとは少し毛色が違う。
自分の意志でどうこうする前に、否応なしに終わりが来たときにどうするのか。
それは、私が近々直面する可能性が高い問題であり。
どれだけ忠告しても、問題を先延ばしにしている姉を心配してくれているのだろう。
勘のいい紫里のことだ。最近の私の様子から何かを感じ取っているのかもしれない。

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