彼があたしを抱くとき

改札を入っていこうとする岸谷について、
切符を持たないあたしは、すばやく改札を通りすぎた。

あたしにはそこが改札だ、などという意識はうすかった。

もたもたしていると岸谷と遠ざけられてしまうということだけがわかっている。

駅員は定期乗客とでもまちがえたのだろう。


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