彼があたしを抱くとき

母は理智的な人間であった。

いや、そうありすぎたのかもしれない。

私は母の理智を信頼し、そして同時に嫌悪した。

動物が体と体をすりあわせるような、体温と体温の結びつき、
ケダモノ的な愛情に飢えていた。


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