初恋の味。


ーー遥斗 sideーーーーーーーーーーーーーーーーー


「えっと…好き……だから、付き合って欲しい…」


言った……言ってしまった…


結歌を見ると、頬を赤らめ驚いた顔で僕を見てる
あぁぁぁぁ……可愛い……


結歌とは、1年の頃から共通の友達がきっかけで
仲が良かった

最初はただの友達、だった

趣味が合うから話すのは楽しかったし
一緒に帰ったりもしてた

でも気付いたら、結歌のこと目で追ってて
僕に笑ってくれるときゅんってして
元気がないと心配になって……。いつの間にか
一人の女の子として好きになってた

今の関係、結構楽しいから壊したくなくて
ずっと本当の気持ちを言えずにいた
でも壊れる覚悟で伝えてみることにした


「あ…えっ……恋愛的な意味での好きって
どんな感じなのかよくわからないんだけど…
それでもいいなら…お願いします?」


……………………?
一瞬、脳内整理が追いつかなかった

フラれるって思ってたから、予想外の返答に
びっくりした


「うん…わからなくていいよ?お願いします」


そう告げると、結歌は下を向いた

この微妙な間に耐えきれなくて
とりあえず帰ろっか?と告げた。





帰り道、結歌は一度も僕の顔を見てくれなかった
たぶん恥ずかしいんだと思う

でも、ちょうど良かった。僕も赤い顔
見られたくなかったから




家に着いて、すぐさま携帯を取り出した



>「告白、OKしてくれてありがとう
今日から改めてよろしくね(*^^*)」



なんとなく特別扱いしたくて、普段使わないのに
顔文字を入れて結歌にメッセージを送る

しばらくすると



<「こちらこそよろしく
急だったからびっくりしたよ(笑)」



と、相変わらずクールな返事が返ってきた

結歌からの返信をしばらく見つめながら
ぼんやりしてた


高1の時から、仲が良くて高2の春に告白して
付き合うことになった

自分はいつから結歌のこと好きだったのかな

体育祭の時は?
たしか、応援団でめちゃめちゃ頑張ってた
おかげで優勝したしなぁ

文化祭の時は?あれは笑ったなぁ…
あんなところでコケるとか…笑
でも、結歌のメイド服可愛かった


「んー………考えてもいつから好きだったか。
なんてわかんないんだよね…本当に
気付いたら好きになってたって感じだから」


目を閉じると、結歌の笑った顔が浮かんだ

そしたら無性に声が聞きたくなって思わず
電話をかけた


ぷるるるるるるっ
ぷるるるるるるっ

呼び出し音が鳴ってる間、急にかけて
迷惑かな?とか今何してんだろとか
色んなことを思った



「もしもし…?」


「あ、もしもし、結歌?」


「え?遥斗?どうしたの?」


突然の電話に結歌は意味が分からなさそうだ


「いや…声……聞きたくて」


やばい…声震えてる。なんでだろ
電話は初めてじゃないのに、すごくドキドキして
うまく喋れない


「遥斗…声震えてるよ?」


「あ……え!?そ、そんなことないよ……」


とっさに誤魔化そうとしたけど
誤魔化せるはずもなく…


「あははははっ!震えてるって!笑
めっちゃ声震えてるよ?緊張してんのー?笑」


「なっ…そ、そんな笑わないでよ……」


「いやいや、あははははっ!ごめんごめん!笑
初めてじゃないくせに可愛いなぁー、笑」


「男の子に可愛いはどうかと思うよ…」


僕の声が聞こえてるのか聞こえてないのか
電話の向こうでは楽しそうに笑ってる
よかった、迷惑ではなかったみたい


「あ、そーだ遥斗!あたし思ったんだけどさ?」


「ん?なに?」


突然笑うのをやめたから、何事かと思い
結歌の言葉を待つ


「恋愛的な意味での好きじゃなかったらさ?
手をつなぐとか、ぎゅーってするのとか
嫌だよね?男友達と手つないで帰るとか
考えたら嫌なんだよね」


「ん…?」


言っている意味がわからなかった


「だからね?
遥斗とするって考えたら嫌じゃなかった
だから、これってそーゆー好きなんじゃ
ないかなって思ったの」


「確かに……そうかもしれないね」


「だから、あたし遥斗のこと……好き…だよ?」


「え……!?あ、うん!!嬉しい、ありがとう」


突然の「好き」に心臓が跳ね上がった
破壊力ありすぎる…なにそれ………めちゃくちゃ
嬉しい




ただの友達だった2人が「好き」って2文字の
言葉だけで違う関係になれる


結歌の言葉と僕の言葉が重なった
恥ずかしいのに暖かい、そんな不思議な感覚だった
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