極甘上司に愛されてます


「……編集長って」

「ん?」


これ、上司に聞くの失礼かな……編集長なら怒らないとは思うけど。


「合コンとか……興味ないんですか?」

「なんだよやぶから棒に」

「……いえ、あの。その外見でしたらそういう場ですごくモテそうだなって」


私が言うと、編集長は鼻からふっと息を洩らして苦笑した。
別にお世辞でもなんでもなく、正直な気持ちを言ったまでなんだけど……


「……その褒め方は全く嬉しくない」

「え! す、すいません……」

「別に怒ったわけじゃねーよ」


編集長は軽く笑って流してくれたけれど、私は隣で小さくなり反省していた。

いくら編集長が優しいからって、ちょっとくだけた話振りすぎたかも。

……だいいち、恋愛方面に偏った思考をどうにかしろって、今日自分にいったい何回言い聞かせてるのよ。仕事の話をしなさい、仕事の話を。


「あの!」

「今度はなんだ? 俺は婚活にも興味ねぇぞ?」

「違いますってば。次の式場の取材、木曜日でいいんですよね?」


私たちの仕事はもちろん今回の特集のことだけではないし、基本的にその内容は一人ひとり全く別のものだから、きちんと事前に打ち合わせておかないと二人一緒に動けない。
編集長の方は予定外の仕事が入ることも多いからなおさら。


「ああ、今日と同じ時間に社を出る」

「了解です。……で、金曜日は一年前に式を挙げたカップルにインタビュ……」

「14時な。俺は会議があるから、それだけはお前一人に任せる」

「はい。大丈夫です」

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