俺様富豪と甘く危険な恋
栞南は預かった小さな箱をバッグの中に丁寧にしまう。

食べている途中、彩は電話をかけてくると言って中座した。

栞南はそこでようやく窓からの景色をゆっくり眺めることが出来た。

お腹も満足し、ジャスミンティーが口の中をさっぱりさせてくれ、気分が少しよくなった。


(香港旅行は意外と思い出深いものになったかも。またこの景色を見に来よう)


「お待たせー 行こうか」


戻ってきた彩はスマホをバッグに中にしまい、長財布を取り出した。


「うん。彼氏さんにごちそうさまって言っておいてね?」

「お礼を言うのは彼の方よ。あ、大事なものだからくれぐれもよろしくね」

「了解!」


栞南は元気よく返事をした。

ホテルに戻りスーツケースを受け取ると彩と共に九龍駅に向かった。タクシーで10分ぐらいのところだ。

香港駅と九龍駅で各航空会社のインタウン・チェックインが出来る。ここから重たいスーツケースを利用航空会社に預ければ、時間があれば身軽に観光出来るし、空港へ行けるので便利なシステム。

駅の航空会社カウンターで預けたスーツケースは目的地で受け取れる。

栞南の場合は羽田空港だ。

栞南の搭乗予定の航空会社カウンターの前でふたりは立ち止まる。

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