俺様富豪と甘く危険な恋
「頼みたいこと?」


栞南は不思議そうな顔で彩を見る。


「雄二の知り合いの誕生日がもうすぐなんだけど、ちょっと高価なものだから送って欠けたり、割れたりしたら困るから、栞南に日本へ持っていってほしいの。受け取る人から栞南へ電話するようにするから。ね? いいでしょ?」


つまらなそうな先ほどの表情とは打って変わって、にっこり魅力的な笑顔を彩に向けられ、栞南は戸惑う。


「でも割れたら嫌だし……」

「強い衝撃を受けなければ大丈夫よ。でも郵送だとどんな風に運ばれるのかわからないじゃない? 中身は翡翠の置物だから、割れないわよ。万が一、割れたとしても責任は問わないわ。好意で持っていってくれるんだから」

「う、うん……」


目の前にリボンをかけた5センチ四方の小さな箱を出される。

考えていた物よりも小さくて、これならバッグの中に入れても荷物にならないかと栞南は思った。


「このくらいならいいよ」

「栞南! ありがとう! じゃあ、栞南の番号相手に教えておくから」

知らない人に電話番号を知られるのは少し抵抗があるが、仕方ないと頷く。

そこへオーダーした点心やピータン入りのおかゆが運ばれてきた。

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